FAQ (文学フリマ新規開催について)

このページでは、文学フリマ百都市構想に基づいて新しく文学フリマを自分たちの住む街で開催したいと思う方に向けた FAQ (よくある質問とその回答) を記載しています。

新規開催を希望される方は、ご連絡をいただく前にこちらのページをよくお読みください。

目次

スキル・経験について

Q. イベントの運営経験がないのですが、文学フリマの新規開催は可能でしょうか?

はい、可能です。
これまでイベントスタッフ未経験の方が多く文学フリマ開催を実現しています。

Q. パソコンの取扱いに関するスキルは必要ですか?

はい。ある程度は必要です。
パソコン (Windows または Mac) を利用した事務作業が可能であれば問題ありません。具体的には、以下のソフトウェアを利用します。

  • Word・Excel・PowerPoint
  • Web会議ツール (Google Meet)
  • チャットツール
  • SNS、とくに X (Twitter)

Q. 文学フリマに参加したことはないのですが、開催は可能ですか?

いいえ。
まずは、どこかの文学フリマに一般来場者または出店者として参加してください。 実際の文学フリマをその目で確認いただいた方でないと具体的なお話ができません。
ご連絡いただく前に、かならず一度はどこかの文学フリマをその目で確かめてください。
(ご自身が開催しようとしている地域に似ている地域を選んでいただけますとよりスムースにお話ができます。)

Q. 開催までに文学フリマのスタッフを経験しておく機会はありますか?

はい。スタッフの経験を必須としています。
準備の一環として、全国いずれかの文学フリマの開催当日にスタッフとして活動いただき、概ねすべてのポジションを経験していただきます。

Q. 本当に開催するかどうかを決心する前に相談をしたいのですが、可能ですか?

はい。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。Web会議ツールを利用して相談をお受けいたします。
なお文学フリマ開催当日の会場内では運営業務に集中していますので、お声がけはご遠慮いただいております。

Q. 開催することを外部の第三者に相談してもよいですか?

いいえ。
また地域での文学フリマ開催を大々的に告知するには、タイミングを調整し最も効果的な時期に実施する必要があります。
そのため開催発表のタイミングまでは準備状況も含めた情報は関係者外秘とするようにお願いします。外部との相談も控えてください。

開催形態・開催地について

Q. 人口規模の小さい町で文学フリマを開催したいのですが、可能でしょうか?

現状の開催要件としては、開催会場があること・公共交通機関でのアクセス性がある程度以上あること・近傍の宿泊施設がある程度以上あること・300人程度以上の来場者が見込まれること、等が挙げられます。

したがいまして、おおむね中核市と同等程度以上の人口を擁する地域である必要があるでしょう。

Q. 既存開催地において、さらに追加で開催を実施したいのですが可能ですか?

いいえ
文学フリマアライアンス加盟団体には、各団体ごとに独占的に開催権が付与されます。たとえば「文学フリマ東京事務局」は東京都内での開催権を保持しています。たとえば、東京都内での別の場所での開催を決定する権利は文学フリマ東京事務局にありますので、他の団体が東京都内で文学フリマを開催することはできません。

Q. 非公式に文学フリマを開催したいのですが、可能でしょうか?

いいえ。
「文学フリマ」は一般社団法人文学フリマ事務局の登録商標ですので、一般社団法人文学フリマ事務局の許可なく「文学フリマ」の名前を冠するイベントを開催することはできません。

(注) 類似した趣旨のイベントを文学フリマとは異なる名称で開催すること自体には問題ありません。

Q. 他イベントとの併催や、他イベント内での1つのミニイベントとしての開催は可能でしょうか?

通常は他の団体へ開催運営業務を依存する形での開催を不可としています。そのため原則としては併催やミニイベントの形態は不可としています。これは、文学の「場」として文学フリマが機能するために「開催地における継続的な開催」が前提となるためです。

過去に「超文学フリマ」 (「ニコニコ超会議」内で2013年に開催)のような形態での開催実績がありますが、他のイベントとの併催やイベント内イベントの形式での開催は、あくまで「特例」です。

開催に向けた準備作業について

Q. 初回開催までの準備に必要な時間はどの程度ですか?

期間にして約1年半〜2年半程度、時間にして合計約80〜160時間程度となります。

Q. 文学フリマの開催をしながら自分自身も出店しブースを運営することは可能ですか?

いいえ。
主催団体の中枢のメンバーとなるイベントでは、自分自身でのブースの運営を行う余裕はありません。

他の方にブースの運営を任せるか、他地域での開催回に出店することをご検討ください。

Q. 地元でチラシ配り・ポスター張りなどの広報活動は必要でしょうか?

必須ではありません。
これまでのところ、そうした活動が大幅に来場者増につながったというデータは得られていません。

実際に文学フリマでは、チラシ・ポスター・テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等による告知効果は非常に限定的です。文学フリマ自体が従来とは異なる新しいコミュニティを希求する「場」である以上、従来の集客方法とは違う考え方が求められます。文学フリマを運営する際には従来の考え方を自ら手放し、新しい考えを取り入れる態度と柔軟性が必要となることを知っておいてください。

Q. 地元の文学に関する団体との連携・提携は、文学フリマ開催に必須となりますか?

いいえ。
そうした団体の活動とは一線を画した場所に、新しいコミュニティを生み出す存在となるのが文学フリマの役割です。したがいまして、連携・提携を必須とするものではありません。

また、文学フリマの場で特定の団体を不当に有利な立場にしたり、そのことが疑われることがないようにしなければなりませんので、特定団体との関係をもつことには注意する必要があります。

開催の意図・目的や企画について

Q. 町おこし・地域振興・観光喚起の一環として文学フリマを開催したいのですが、可能でしょうか?

文学フリマは「地域振興」「観光需要喚起」に寄与することを目的としているイベントではありません。
そうしたご期待をお持ちの方もいらっしゃることは理解していますが、残念ながらご期待に添いかねる回答となることが多いことをあらかじめご承知おきください。

また文学フリマは郷土を美化する作品のみならず、土地柄や住人の気質を批判的視点で描いた作品も出品できる場です。

該当する市販の作品を例にとると、小説では夏目漱石「坊っちゃん」村上龍「69 Sixty Nine」本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」などがあります。

「地域振興」に対して冷や水を浴びせるような作品も出品される可能性がありますが、文学フリマはそれを許容する「場」です。
それも文学フリマが果たすべき、ひとつの重要な役割であると考えてください。

Q. 作品の内容や出店者の実績で出店者の選抜を実施したいのですが、可能でしょうか?

いいえ。
文学フリマは内容・実績を問わず幅広い出店を受け入れる「場」です。
ご提案の方式は文学フリマの理念とは相容れるものではありません。あしからずご了承ください。

Q. 作品のカテゴリを限定した文学フリマを開催したいのですが、可能でしょうか?

いいえ。
文学フリマは内容・実績を問わず幅広い出店を受け入れる「場」です。
特定のカテゴリに限定した文学フリマは文学フリマとは言えません。あしからずご了承ください。

Q. ゲストを招待したトークイベントを文学フリマ内で開催したいのですが、可能ですか?

不可能ではありませんが、おすすめはしません。
文学フリマの価値というのは、あくまで出店者とその作品を中心として存在するものであって、主催者側がサブイベントを企画したところでそれが強化されることはありません。事実、これまでの文学フリマの会場内でのシンポジウム・トークイベント等のサブイベントの試みが、来場者数などの各種指標に対して寄与したことはありません。

まずは安定して通常の文学フリマを開催できるようにすることを目標としてください。

Q. 地域なりの独自のアレンジを加えた文学フリマを開催したいですが、可能でしょうか?

可能ですが、制約があります。 ポスターのデザイン・当日アナウンス・SNS運営等、ルールの範囲内で実施いただくのみとなります。
運営形態の大幅な変更は認めておりません。

文学フリマでは「地域性・独自性は【出店者のブース】に『にじみ出る』ものである」と考えます。それらを生み出す主体となるのは、他ならぬ出店者自身です。そのために地域性・独自性を演出しないよう、文学フリマでは主催者に自制が求められます

とくに「地域に密着したイベント」「ご当地モノ」「地域コラボ」といったキーワードには注意が必要です。

まずなにより先に立つのは「地元からの出店者を集め、地元からの来場者を集め、開催当日に多くの作品の流通と、参加者間の交流を生み出すこと」であって、その他はありません。主催者が恣意的に演出したものが、出店者・来場者から「にじみ出る」ものより優先されることは文学フリマではあり得ないのです。

主催者の立場からすれば「それで果たしてイベントの地域性・独自性が出るのか」と不安になるのは当然です。ついご当地モノや地域コラボを持ち込んだりしたくなってしまうのはわかります。しかし、そうしたものがなくとも、各地域ごとの文学フリマの多様性は高い評価を受けています。これは私たちが各地域のメンバーとともに真の意味での「地域性」「地域密着」に目をそらさずに向き合い続けてきた結果であり、その土台の上に出店者・来場者が自然に紡ぎ上げたものなのです。

実のところ、文学フリマは、「自らの手で地域性・独自性をもたらしたい」という方には向いていません。文学フリマの主催者には他者(出店者・来場者)を信頼して新たな創造の余地を委ね、自らの想像の範囲を超えた広がりを生み出そうとする態度が求められるからです。

いささか遠回りな活動ですが、文学フリマの運営は短期的な成果を求めるものではなく、参加者と歩みを共にして文化藝術を育んでいくものです。
この思いに共感していただけるとうれしく思います。

その他

Q. 開催会場において、自分の作品を目立つ場所で売れるようにするなどの「役得」を期待しても良いですか?

いいえ。
特定の出店者に対して主催者が正当性なく特別の便宜を図ることは、内部の倫理規定により禁止しています
。主催者側の個人が所属している団体であっても同じです。そのため、自作品を宣伝するために文学フリマを開催するということ自体が成立しないものとお考えください。

Q. 文学フリマ開催によって地元での名声が得られるようなことはありますか?

いいえ。
これまでも述べた通り、文学フリマにおいて主役はあくまで出店者であり、メインコンテンツは作品そのものです。よって文学フリマを運営する側であるスタッフはスポットライトの当たらない存在であり、そのことによって文学フリマがあるべき「場」となる、ということを自覚しなければなりません。ですから、主催者が前に出るようなことは避けていただきます。

文学フリマでは、主催者として目立ちたい・評価されたい、という類の願望が満たされることはありません。根気強く開催をし続けていればいずれ評価される日が来るかもしれませんが、それを目的としているようでは評価されるような状態とはなり得ないでしょう。