1. 本づくりの計画

本づくりの計画を立てる

まずは、本づくりのための計画を立ててみよう!
初めての場合、色々調べることも出てくるので、できるだけ余裕をもった計画にしておくといいよ!
〆切を守るのは大変だけど、最初に計画しておくと心の余裕ができて、作りやすくなるはず。

本づくりの計画を立てるときは、まずメモや簡単なイラストで、完成した本のイメージをなるべく具体的にしてみるとよいでしょう。
ポスターやチラシ、SNSでの宣伝文を作るつもりで、タイトル、表紙のイメージ、宣伝文句などを書き出してみると、完成品のビジョンが見えやすくなり、実際に販売・配布する際にも役立ちます。
参考にしたい本の実物がある場合は、それを元にイメージを決めていくとスムーズです。

計画時に決めること

計画時には、主に以下のようなことを決めておきましょう。

1.発行日と発行までのスケジュール

発行日と、発行までのおよそのスケジュールを決めておきます。
自分の執筆ペースや、印刷所の〆切などを考えて、余裕をもったスケジューリングをしましょう。
「執筆・制作期間」「印刷期間」「宣伝期間」「当日に向けた準備期間」などに大きく分けてみると計画的に本が作れます。

2.予算と販売価格

執筆・制作のための道具や、アプリケーション、フォント、印刷料金、ブース装飾用品など、全体にかけられる予算をざっくりと決めておきましょう。
印刷所に依頼して印刷する場合は、Web上で料金表を見たり、自動見積もりシミュレーターを使ったりして、簡単に印刷料金が調べられます。
印刷料金はページ数や判型、使用する紙やインキ色によっても変わってくるので、下記の項目も参照しながら予算を決定しましょう。
(遠方の文学フリマに出る場合、交通費・宿泊費も見積もって早めに予約しておくと、早割などが使えて安く抑えられます)

販売価格に決まりはありませんが、なるべく端数を切り上げて、おつりが少なくて済む値段に設定するといいでしょう。

3.ページ数

おおよそ何ページくらいの本を作るのか計算しておきましょう。
同じ文字数でも、改行や空行の量、1ページあたりの字数・行数によって必要なページ数は変わります。
自分が読みやすいと思う本などを参考に、字数や行数、余白、文字の大きさなどを調べて参考にするといいでしょう。
中表紙や目次、挿絵、奥付などのページも忘れずに数えて下さい。

まだ作品を書いていない場合は、どれくらいのボリュームの作品にしたいかを考えて、既存の本を参考に、目標とする文字数を計算してみましょう。
すでに作品が書けている場合は、手近な本や、参考にしたい本を見て、1ページあたりの字数・行数を調べ、ページ数を計算してみましょう。

4.判型

どの大きさの本を作るか決めておきましょう。
同人誌印刷所に注文して作る本のサイズには「A5」「文庫(A6)」「B5」などのサイズが多いです。
文章が中心の場合は「文庫」「A5」あるいはその中間のサイズ(B6や新書)がよく用いられます。
絵や写真が多い場合は「B5」が多く、その前後のサイズ(A5やA4など)も用いられます。
作りたい本のイメージに合わせ、実際に同じサイズの本や雑誌を手に取ってみて決めましょう。

5.用紙とインキ色

本文に使われる用紙は、白い「上質紙」が一般的ですが、文字が中心で長めの作品の場合、目に優しいクリーム色の「淡クリームキンマリ」「美弾紙クリーム」「書籍用紙」なども好まれます。
本文用紙の場合、厚さは大抵90kg以下で、70kg以下の薄いものは、より市販の文庫本にも近く、好まれているようです。
フルカラーの写真や絵が中心になる本では、ツルツルした「コート紙」「アートポスト紙」などがよく使われます。
表紙に使われる紙の種類はさまざまですが、本文より厚い紙のほうが本を持ったときに安定するため、200kg前後の紙だと、しっかりした仕上がりになります。
多くの印刷所では「紙見本」を無料または送料負担で郵送してくれるので、利用予定の印刷所から取り寄せてみると、実際に触って確かめられます。

本文印刷のインキは一般的には1色で、黒色(スミ・K)が使われることが多いです。
作品の雰囲気によっては、黒以外のインキを使ってみるのもよいでしょう。

表紙印刷のインキは4色(フルカラー)、1色刷り・2色刷りなどを選べることが多いです。
現在ではフルカラー印刷も安価になってきているので、カラー写真やイラストを使った表紙も簡単に作れるようになっています。
1色や2色の印刷を使う場合でも、デザインの工夫によっては多様で面白い表現ができます。

6.印刷方法

作りたい部数によって、印刷方法を決めましょう。現在、一般的な印刷方式は以下の2つです。

  • 「オフセット印刷」…中〜大部数に向いた印刷方式です。版を作ってインキで印刷します。部数が多いほど、1冊あたりの価格が下がります。
    近年では印刷価格も下がってきたので、文学フリマでもオフセット印刷で本を作る方はさほど珍しくありません。
  • 「オンデマンド印刷」…「作りたいときに作りたい部数だけ」作れる、少部数に向いた印刷方式です。1冊からでも作れるのが特徴です。
    多くの場合、コピー機と似た印刷機で、トナーを使って印刷します。部数が増えても1冊あたりの価格はほとんど変わりません。

ほかにも、リソグラフ印刷や孔版印刷などが使える印刷所もあります。
ホチキス止め・紐綴じなどの簡単な製本方法であれば、自宅のプリンタやビジネスコンビニ印刷して自分で製本することもできます。

7.搬入方法

直接、文学フリマの会場に印刷所から搬入してもらうか、あらかじめ自宅に届けてもらって自分で搬入するか決めましょう。

  • 「直接搬入」…印刷会社が、文学フリマなどイベントの会場に直接、完成した本を届けてくれる搬入方法です。
  • 「宅配搬入」…印刷会社から宅配便で、イベント会場や自宅に届けてくれる搬入方法です。
    印刷会社によっては、会場と自宅等、複数個所への「分納」が無料または有料で行えることもあります。

本の計画は立てられたかな? 次はその本を発表する文学フリマに申し込んでみよう!

【おまけ】予習しておくこと

計画を立てるにあたって、必要な知識の予習をしておこう!
よく作られる本の大きさ、予算、執筆手段、かかる時間など、最初に調べておくと安心して制作できるよ。
この下では、もう少し細かい予備知識について解説するね!
他にも気になることは、検索などで積極的に調べてみよう。

よく作られる本の判型(サイズ)は?

文学フリマでよく見られる「文章が主体」の本のサイズは、「文庫判(A6判・105mm × 148mm)」「A5判(148mm × 210mm)」が中心です。
なかには「新書判(103mm × 148mm 前後)」や「B6判(128mm × 182mm)」を作る方もいらっしゃいます。
絵本や写真詩集など「写真や図像が多く使われる」本では、より大きな「B5判(182mm × 257mm)」「A4判(210mm × 297mm)」も用いられます。
手近な本や雑誌などを参考に、自分が作りたい本がどのサイズなのかを調べておきましょう。

印刷料金の相場は?

印刷料金は、印刷方法、印刷部数、入稿時期などによって変わります。
参考価格としては、2万円〜10万円ほどあれば、大抵の印刷所で印刷が可能です。
(ページ数や部数、仕様にもよります)

多くの印刷所では「セット」と呼ばれる、よく使われる印刷方法・紙・インクなどを組み合わせたパッケージが用意されており、セットごとに料金表が設定されています。
初めての場合は、作りたい本のサイズや、表紙をカラーにするか1色刷りにするか、本文は1色か4色(フルカラー)か、など簡単な条件から「セット」を選んで注文するといいでしょう。
ほとんどの印刷所では、料金表のほかにも、印刷料金のWeb見積もりシステムや見積もり依頼が無料で利用でき、手軽に印刷料金を調べられます。
「セット」に追加で、さまざまな有料オプション(インク色や用紙の変更など)が使える場合もあります。

また、印刷所の中には、初心者の方向けの印刷所や、文章作品に特化したセットを用意している印刷所もあります。
印刷方法や紙・インク・製本方法などにこだわりがある場合は、それらが使える印刷所を探す必要があります。
「印刷所のご紹介」も参考に、自分に合った印刷所を調べてみて下さい。

自宅のプリンタで印刷する場合は、ページ数やデザインから逆算して、紙代、インク代、ホチキス・糊など製本用品にかかる代金を算出します。
自分のお財布と相談しつつ、作りたい本のイメージやに合った価格の作成方法・作成部数を決めましょう。

執筆手段は?

自分に合った執筆手段を選んで、快適に執筆できるようにしよう!
専用のメモ機器やワープロソフトを使って素早い執筆を目指すのもアリ、手書きにこだわるのもアリです。

パソコンやタブレットのワープロソフト・メモ帳アプリ等での執筆から、デジタルメモ機器、スマートフォン、手書きまで……
作品の執筆に使える手段はさまざまです。一例を挙げると……

  • PCのワープロソフト(一太郎、Microsoft Word、Google Documentなど)
  • ノート・メモ帳アプリ(Evernote、テキストエディタなど)
  • ブログやSNS、小説投稿サイトの下書き機能
  • デジタルメモ機器(POMERAなど)
  • スマートフォン(メモ帳アプリ、ブログやSNSアプリの下書き機能など)
  • 手書き(ノート、原稿用紙、鉛筆、ボールペン、万年筆など)

初めて作品を書く場合には、まず手持ちの道具や簡単に手に入るもので試してみて、自分の生活に一番合った執筆ツールを見つけましょう。
身近な書き手さんや尊敬する書き手さんと同じ執筆手段をとってみるのも良いでしょう。

なお、ワープロソフト以外のもので執筆する場合、あとで印刷用のデータを作る必要があります。
何を使うか、あらかじめ候補を調べて入手しておきましょう。

執筆に必要な期間は?

自分の普段の執筆時間から、執筆期間の見込みを計算しておこう!
〆切を意識して執筆することで、完成させるモチベーションが上がるよ!

初めて作品を書く場合は、まず書き始めてみて、どれくらいの時間が掛かりそうか見積もってみましょう。
作品のプロットや章立てを考えてから書く方の場合、それぞれの展開や章ごとに、かかる執筆期間を考えるとよいでしょう。
短歌・俳句・川柳・短詩の場合には、あらかじめ収録する作品数を決めておくと目処がつけやすくなります。

本にするにあたっては、推敲や校正をする期間もとる必要があります。
複数人で作品を作る場合は、各人の事情で作品完成が遅れる場合もあるので、特に余裕をもったスケジューリングをしておく必要があります。
また、手書きの方や、デジタル機器やスマートフォンなどで執筆している方は、印刷用のデータを作る時間も見こんでおきましょう。

執筆がギリギリにならないよう注意して、穏やかに当日を迎えられるようにしましょう。

印刷にかかる時間は?

文学フリマ当日の日程をもとに、印刷にかかる時間(入稿〆切)を調べておこう!
はじめて入稿するときは緊張すると思うけれど、方法をしっかり調べておけば大丈夫!
作品は完成したけど印刷が間に合わなかった、という悲しい事態にならないように気をつけてね。

いわゆる同人誌印刷所での印刷にかかる時間は、通常、2週間〜1ヶ月程度です。
早めに印刷所に入稿すると、料金を割引したり、オプションをサービスしてくれる場合もあります。
多くの印刷所のWebサイトには、イベント日に合わせた〆切のシミュレーターや早見表があるので、いくつかチェックしてみましょう。
はじめて入稿する場合は、トラブルも考慮して2〜3日ほど前に入稿したり、入稿時期を自分の休日に合わせたりできるようにしましょう。

年末年始や大型連休、お盆など、長期休暇・印刷所の繁忙期などは〆切が早まることもあるので注意してください。
また、発注受付完了のタイミングが入金完了時となる印刷所もありますので、決済方法と入金確認までにかかる時間も調べておきましょう。

計画通りにいかないこともあると思うけど、余裕をもった日程で制作するようにしてね!
次は、本を発表する「文学フリマ」への申し込みについて解説するよ!